尼崎市のUSB問題

結論から言えば、未だにこういった「平成前期のセキュリティ意識」が、日本の行政組織、企業組織のごく一般的な実態なのだ。ICT(情報通信技術)は加速度的に進んでいると思われているが、それはあくまでも技術論としてそうなのであって、実際に現場で情報(や情報が記録された物)を取り扱う人間の方は、せいぜい製品の使い方やソフトウェアの操作手順を知っているだけであり、「セキュリティ意識」などと言うものは、ほぼ持ち合わせていないと考えた方が正確である。技術論をいくら論じたところで、取り扱う人間が理解していない限り、この種の事故は今後も起きるだろう。

あおり運転と発達障害

ほんとうは「あおり運転」ではなく、より範囲の広い「迷惑運転」とした方が正確かもしれない。筆者は、公道上で意図的に行われる迷惑運転や危険運転について、発達障害との相関があるのではないかと考えている。仮に少しでも関係があるのだとすれば、彼らに与えられるべきは懲罰だけでなく、社会的養護も必要かもしれない。さらに少子高齢社会の手本となるべき日本においては、高度成長時代の発想のままと思われる免許行政の見直しも、もっと検討されるべきではないかと考えている。なお本稿は6月6日に判決が出されたやり直し裁判の事件等、個別の事案とは直接関係ない。

宗教史で考える聖ロシア

ロシアによるウクライナ侵攻が続いている。罪なき一般市民に心を寄せることは大変重要だが、数々の被害・災害の延長線上でのみこの悲劇をとらえているだけでは、問題の本質は理解できない。本稿では、昭和以降の日本人にとって世界認識の死角となっている東欧・ロシア世界を、宗教という切り口で考えてみたい。プーチンはここ2年間ほど、中世以降のロシア史に没頭していたという話も聞く。むろん、ロシア史や正教といった分野に理解のある方からすれば、まったく素人の戯言に過ぎないことは承知の上だ。しかしだからこそ、ごくふつうの日本人の感覚をもってこの無謀な挑戦をしてみたい。

エクセル年表の愉しみ(その4)

長い期間にわたって一定のアクセスをいただいている筆者の投稿のひとつに「エクセル年表」関連の投稿がある。なぜエクセルで年表を作ろうとするのかについては過去投稿(本稿末尾にリンクあり)を見ていただくとして、今回は「育ってきたエクセル年表」つまり書き込みが多くなってきた年表が、技術的な意味での「宿命」に見舞われることに関して、少しでもその苦悩を回避したり、軽減したりする工夫を紹介する。なお筆者が解説するエクセル年表は、原則としてPCでの利活用を想定している。

いま、ふつうの日本人が試されるとき

ロシアがウクライナに侵攻したことによって、ただでさえ疲弊している日本人にも、さらなる重圧がかかり始めている。もっともわかりやすい部分は物価上昇だ。しかし今後じわじわと日本人を絞めつけてくるものはそれだけに限らない。いま、我々ふつうの日本人が、大国による軍事侵攻をどのように考え、どのように振る舞うかによって、5年後、10年後の国際社会の中での日本の立ち位置が決まり、我々の暮らし方を決めていくことになるのではないだろうか。

佐渡金山とキリシタン遺産から見えてくるもの

2022年1月末、政府は佐渡金山の世界遺産登録へ向けて、推薦の手続きを進めると発表した。隣国からは強い不満が示されているという。華やかなイメージのある世界遺産にも、人々のさまざまな思いが絡んでくるようだ。筆者はこのニュースに接したとき、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」との、ある共通した視点に思いが至った。

鎌倉殿の「首ちょんぱ」

令和4年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まった。1月9日の第1回放送を見て様々な感想を持たれたと思うが、まるで現代ドラマのような脚本、演出に驚いた、あるいは違和感さえ覚えたという人もいるかもしれない。しかし筆者はこのような脚本、演出はむしろ大切だと思うし、教育的でさえあると思うのだ。

不自然にきれいなお姉さんは、好きですか。

むかし、ある家電メーカーの広告で使われていたキャッチコピーをご記憶の方も多いだろう。平成の半ばぐらいからだろうか、「きれい」の実態はあくまでも見る人と見られる人の間の「中間存在」を前提としている場合が多くなってきているようだ。この意味でのきれいは「いっとき物語」としては華々しく存立するのだけれども、これが中間存在のない状況に置かれたとき、途端に滑稽なものとして浮かび上がってくる。

タクシーのウラ側から

タクシーをかしこく、そして気持ちよく利用するための知識をウラ側、すなわち業界側からの視点・立場で解説する。数十人の現役タクシー乗務員からの聞き取り調査と、企業・関係団体の公開情報、そして自家用車は一度も持ったことがない「レンタカー&タクシー主義」の筆者が、客として利用しながら得た体験をもとにしている。
なお本稿では、基本的に東京事業区域(23の特別区と武蔵野市、三鷹市の範囲、正確には「特別区・武三交通圏」)のタクシーを想定している。

「https」なら安心か

インターネット通販などを利用するとき、暗号化通信が行われているかどうかを確認する人は多いだろう。しかし、暗号化通信が行われているということと、その業者(通信先)が信頼できるかどうかということは、まったく別の問題である。すなわち暗号化通信を行う悪質業者は存在しうるのだ。今回は一般の方にもわかりやすく、そのしくみを解説していく。